令和5年(2023年)の賃金不払い状況:厚生労働省の調査結果
厚生労働省は、2024年8月2日に、令和5年(2023年)に賃金不払いが疑われた企業に対して行った調査・指導の結果を発表しました。
この調査は、令和4年(2022年)から集計方法が変更されています。それ以前(令和3年まで)は、1社あたり100万円以上の「割増賃金(残業代など)」の不払いのみを集計対象としていましたが、令和4年からは金額に関わらず、あらゆる種類の賃金不払い(基本給の未払いなども含む)を対象とするようになりました。
令和5年(2023年)の調査結果のポイント
- 労働基準監督署が対応した賃金不払いの疑いがあるケース全体
- 件数:21,349件(前年より818件増加)
- 対象となった労働者の数:181,903人(前年より2,260人増加)
- 支払われていなかった賃金の総額:約101億9千万円(前年より約19億3千万円減少)
- 労働基準監督署の指導により、企業が未払い賃金を支払って解決したケース
- 件数:20,845件
- 対象となった労働者の数:174,809人
- 支払われた賃金の総額:約92億8千万円
注意点とアドバイス
2020年4月の法改正により、未払い賃金を請求できる期間(消滅時効)が、原則として「2年」から「3年」に延長されています(当面の間)。この変更も考慮すると、企業としては、日頃から従業員の労働時間を正確に把握し、賃金の計算間違いや支払い漏れがないように、より一層注意する必要があります。
なお、厚生労働省の発表には、今回の調査結果だけでなく、実際に指導によって改善された企業の事例や、悪質なケースとして検察庁に書類送検された事例も掲載されています。自社の労務管理体制を見直す上で参考になりますので、そちらも合わせて確認することをおすすめします。
(詳しくは、こちらをご覧ください)
・<賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)を公表します>(厚生労働省ホームページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41907.html