採用する時の労働条件は何を明示すればいいですか?

あくまでも一般的な回答であるため、すべての企業に適用できるものではありません。また、わかりやすく表現するためと、法改正により内容が古くなり、すべて正確に表現できていない場合もあります。当事務所では掲載内容の責任は負いません。判断や行動をする前に、専門家の方やそれぞれの行政機関・事務所にご相談やご確認などしてください。

小さな会社では口だけの約束をして書面で労働条件を書面で作成・交付していない場合がありますが、後で「言った」「言わない」とのトラブルを防ぐために労働条件の内容について書面の作成は必要です。

労働基準法では、労働契約締結の時に明示しなければいけない労働条件が決められ、厚生労働省でモデル労働条件通知書が情報提供されています。

労働トラブル予防のために、作成した書面は、労働者の方の署名・押印をもらい、労働条件に労働者が納得し同意してもらったことがわかるようにしておきます。

なお、書類を二部作成し、一部は労働者に渡し、一部は会社に保管しておけば、後で言った、言わないのトラブルを防ぐことになります。

労働基準法の明示事項

労働基準法第15条で、使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間、その他の労働条件を書面などで明示しなければいけないと定めています。

具体的には、労働者に対して労働契約締結の際に明示しなければいけないものが以下のとおり決められています。

(1)から(6)「(5)のうち昇給に関する事項を除きます。」については、労働者に書面を交付して明示しなければいけないとされています。(7)から(14)についてはその定めをしない場合には明示の必要はありません。

(1)労働契約の期間

(2)契約の定めのある労働契約(有期労働契約)を更新する場合の基準

(3)就業の場所・従事する業務の内容

(4)始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上にわけて就業させる場合(交替制勤務)における就業時転換に関する事項

(5)賃金の決定、計算、支払の方法、賃金の締切・支払の時期並びに昇給に関する事項

(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

 

(7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項

(8)臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項

(9)労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項

(10)安全・衛生に関する事項

(11)職業訓練に関する事項

(12)災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

(13)表彰、制裁に関する事項

(14)休職に関する事項

※就業規則に当該労働者に適用される条件が具体的に規定されている限り、契約締結時に労働者1人ひとりに対し、その労働者に適用される部分を明らかにした上で就業規則を交付すれば、同じ事項について書面を交付する必要はありませせん。

短時間労働者(パート)の場合

短時間労働者の方を雇い入れたときには、上記労働基準法第15条の明示事項に加えて、以下の事項を文書の交付等により明示しなければいけないこととなっています。

(1)昇給の有無

(2)退職手当の有無

(3)賞与の有無

平成27年4月以降は、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」も追加されます。

労働条件の明示がない場合

労働条件の締結にあたって、労働契約は、書面によって労働条件が明示されなくても口頭でも、労働契約は有効に成立します。

ただし、口約束は後になってトラブルの原因になることがあるため、書面で労働条件を明確にしおくことが必要です。

(参考)
モデル労働条件通知書
様式集 (必要な様式をダウンロードしてご使用下さい。)(厚生労働省 東京労働局 HP)
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/hourei_youshikishu/youshikishu_zenkoku.html

参考

(労働契約の内容の理解の促進)
労働契約法第四条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。

 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

 

(労働条件の明示)
労働基準法第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

 

労働基準法施行規則第五条 使用者が法第十五条第一項 前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。ただし、第一号の二に掲げる事項については期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限り、第四号の二から第十一号までに掲げる事項については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。

一 労働契約の期間に関する事項

一の二 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

四の二 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

五 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項

六 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

七 安全及び衛生に関する事項

八 職業訓練に関する事項

九 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

十 表彰及び制裁に関する事項

十一 休職に関する事項

 法第十五条第一項 後段の厚生労働省令で定める事項は、前項第一号から第四号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)とする。

3 法第十五条第一項 後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。