サービス残業(未払残業代)の会社リスクとは何ですか?

一般的な回答であるため、すべての企業に適用できるものではありません。また、わかりやすく表現するためと、法改正により内容が古くなり、すべて正確に表現できていない場合もあります。当事務所では掲載内容の責任は負いません。判断や行動をする前に、専門家の方やそれぞれの行政機関・事務所にご相談やご確認などしてください。

サービス残業があり未払残業代が生じていると、従業員のやる気の低下や社内の雰囲気も悪くなりますが、会社に金銭的に大きなリスクを抱えて経営していることになってしまうことが一番の問題になります。

未払残業代の問題は、1人の従業員でなく、他の従業員にも波及してしまうことが多いので、金額も大きくなりがちです。解雇とならんで、未払残業代のトラブルは、会社の存続に関わる危険性があります。

裁判になってしまうと、未払残業代に加えて、裁判所が認めた場合、未払金残業代と同額を上限とした付加金を支払うことになります。
サービス残業は、「倍返し」になる危険性を会社側は、理解する必要があります。

サービス残業のリスク

労働基準監督署の調査

労働基準監督署に従業員が未払残業代を訴えたことで調査が行われることがあります。この場合には、定期的に行われる労働基準監督署の調査よりも、はるかに厳しいため、2年分の残業代をさかのぼって支払う可能性が高くなります。(民法の改正で消滅時効について長くなる可能性があります。)

訴えた従業員のみに支払えばいいのか、従業員全員に支払えばいいのかにより金銭的な負担が変わります。ただし、支払った後は正しい残業代を払わないといけなくなりますし、他の従業員が未払残業代の事実を知った場合には、他の従業員から支払を請求される危険が残ります。

裁判所への訴え

裁判所により未払残業代が認定されると、未払残業代について支払うことになります。また裁判所から未払残業代と同額の付加金の支払命令を受けることがあります。残業代のトラブルが訴訟までもつれて、敗訴した場合には、未払残業代の2倍の額を支払わなければいけなくなる可能性があります。

また、未払残業代と付加金には利息もかかります。未払残業代に対する利息は、在職中、年6%、退職日以降、年14.6%となります。付加金に対する利息は、年5%となります。

当然、裁判となれば、弁護士にも頼む必要がでてくるため弁護士費用も必要となります。

他の従業員が未払残業代の事実を知った場合には、他の従業員から支払を請求される危険が残ります。

未払残業代が発生する原因

そもそも、残業代を払っていない会社は論外ですが、会社の知識不足のために知らないうちに未払残業代となっている事があります。

例えば、

・労働時間を適正に把握していない

「うちの会社はタイムカードを使っていないから大丈夫」という方がいますが、労働時間を証明するのはタイムカードのみではありませんし、そもそも会社には労働時間を適切に管理する義務があります。

・割増賃金の計算が誤っている

割増賃金の計算方法が誤っているために、知らないうちに未払残業代が発生していることもあります。

割増計算の計算基礎にしなくてはいけない手当を入れずに計算をしていることも多いです。
基本給のみを割増賃金の規則にしている会社を見ることがありますが、その場合は、時間当たりの単価が少なくなっていて未払残業代が生じていることになります。

割増計算の計算基礎より除いていい手当は決まっています。給与計算ソフトを使っているから大丈夫ということはありません。(給与計算ソフトの設定が重要になります。)

・時間外の上限を決めている

割増賃金の対象の時間外労働の上限を定め、上限を超えた時間外労働の割増賃金を払っていない場合は当然ですが違法です。

・固定残業代(定額残業代)の運用方法が間違っている

「うちの会社は基本給に残業代込で払っている」「うちの会社は○○手当は残業代だ」ということで残業代については大丈夫と考えている会社がありますが、定額残業代の運用が誤っていることがあります。定額残業代がすべて駄目だということはありませんが、就業規則等の規定や定額残業代を超えた差額支払がないなど運用方法が正しくないため、違法状態となっていることがあります。

定額残業代が否定されると、割増単価の金額が大きくなってしまい、会社に与えるダメージも大きくなってしまいます。一度専門家等に確認してもらうことをおすすめします。

・管理監督者の対象者に誤りがある(名ばかり管理職となっている)

会社で課長以上にかると管理職であるとして残業代を支払わないことがありますが、会社の管理職と労働基準法上の管理監督者とは異なることが多いため注意が必要です。

中小企業では管理職と呼ばれる方は、ほとんど労働基準法の管理監督者ではないと認識して対応をしないと、管理監督者についてのトラブルになったとき会社側はほぼ負けると思います。