社会保険に未加入のリスクとは何ですか?

一般的な回答であるため、すべての企業に適用できるものではありません。また、わかりやすく表現するためと、法改正により内容が古くなり、すべて正確に表現できていない場合もあります。当事務所では掲載内容の責任は負いません。判断や行動をする前に、専門家の方やそれぞれの行政機関・事務所にご相談やご確認などしてください。

社会保険は法人であれば強制適用のため、役員1人だけであっても加入義務があります。

現在、建設業では、国土交通省により社会保険未加入対策(平成29年度以降を目途に、企業単位では許可業者の加入率100%、労働者単位では製造業相当の加入率を目指しています。)を行っています。

また、マイナンバーの導入により社会保険の未加入の法人は簡単に見つけることができるようになることが想定されます。

今後は、人を雇って事業を継続していくためには、法律を守り社会保険の加入は避けられなくなると考えられます。対策が遅くなればなるほど問題が大きくなりがちです。早めの対策が重要です。

社会保険に未加入の問題(労働者への不利益)

事業主の未届又は事実と相違する届出が行われた場合、後日、被保険者が保険給付等を受けるときに不利益を被ってしまう場合があります。そのため、被保険者又は被保険者であった者が、自らも保険者へ被保険者資格の確認の請求ができるようになっています。

これを、確認の請求といいます。雇用保険にも同じような確認の請求があります。

・確認請求(日本年金機構 HP)
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha2/20120524.html

1.傷病手当金が受けられない

健康保険に加入していれば、病気で働けないときに一定の要件を満たせば傷病手当金という所得補償を受けることができます。うつ病等の精神疾患の場合でも給付対象となり活用できる範囲が広い給付金です。国民健康保険には、傷病手当金はありません。

社会保険に加入していない場合には、いざ病気になった場合の所得補償がないために、労働者とトラブルになる可能性があります。

詳細については、こちら
病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)(全国健康保険協会 HP)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139

2.出産手当金が受けられない

健康保険に加入していれば、出産で働くことができない産前産後休業期間に一定の要件を満たせば出産手当金という所得補償を受けることができます。国民健康保険には、出産手当金はありません。

社会保険に加入していない場合には、いざ出産になった場合の所得補償がないために、労働者とトラブルになる可能性があります。

詳細については、こちら
出産で会社を休んだとき(出産手当金)(全国健康保険協会 HP) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3090/r148

3.厚生年金が受けられない

厚生年金は、国民年金が1階部分、厚生年金が2階部分(上乗せ年金)のいわゆる「2階建て」の方式となっています。社会保険に加入しない場合は、厚生年金の2階部分が受けられないので、国民年金の1階部分の年金になります。そのため将来の年金を受けられる額に大きな差が生じてしまいます。

社会保険に加入していない場合には、厚生年金に加入していれば給付を得られたであろう額についての損害賠償等、労働者とトラブルになる可能性があります。

詳細については、こちら
公的年金の種類と加入する制度(日本年金機構 HP) https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/shurui-seido/20140710.html

社会保険に未加入の問題(会社側のデメリットやリスク)

1.助成金を受給できない

社会保険に未加入の場合、すべてではありませんが、助成金を活用できない場合があります。特に求人関係の助成金はハローワークに求人登録ができないため、活用はできません。

2.良い人材が集まらない

求人者が会社を選ぶためのポイントはいくつかありますが、重視するのは給与、休日、福利厚生ではないでしょうか。
社会保険は、法律で定められている最低限の福利厚生です。法律を守れていない会社に、いい人材があつまらないのは当たりまえのことといえます。

3 損害賠償を請求される危険性がある

会社が社会保険の被保険者資格取得を届け出る義務を怠ったために、社会保険に加入できなかった元社員が、会社を相手取って損害賠償を請求する訴えを起こすという裁判がありました。
判決では、会社の行為は違法であり、労働契約上の債務不履行にあたるとして、元社員の損害賠償請求を認め、会社に387万円余の支払いを命じました。(豊国工業事件 奈良地裁判決平成18.9.5)

このように、社会保険の未加入は会社にとっても非常に危険です。

会社のリスクをなくすため、給与の昇給や賞与の支払いを考える前に、まずは社会保険に加入することが必要だと考えます。

厚生年金保険などの加入の届出を行っていない事業所への取組み

全ての法人事業所(事業主のみの場合を含む)と農林水産業やサービス業の一部を除く5人以上の事業所は、厚生年金保険・健康保険両制度に加入し、従業員を厚生年金保険・健康保険の被保険者として、資格取得の届出を行っていく必要があります。

また、事業主が負担すべき保険料と従業員が負担すべき保険料とを一括して、毎月納めなければなりません。
しかし、保険制度への加入手続きを行わず、保険料の納付を免れている事業所(適用調査対象事業所)があるため、日本年金機構では、その把握に努めるとともに、加入指導等の取組みを行っています。

詳しくは、こちら

・日本年金機構の取組み(適用調査対象事業所対策)(日本年金機構 HP)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/sonota/20150120.html