定年後の勤務 大幅な賃下げを無効とする判決

「定年後、勤務を延長した大学の教授や元教授ら14人が、賃金を一方的に減額されたのは不当だとして大学側に減額分の未払い賃金などの支払いを求めた訴訟について、地方裁判所は、大学側に約1億円の支払いを命じる判決を言い渡した」という報道がありました。

判決によると、大学は、労使協議の上で、平成19年4月から定年を70歳から65歳に引き下げ、希望者については70歳まで働ける制度を導入。これに合わせ、同制度の適用を受けて働く期間中の年俸を最高で約800万円とした。さらに、大学は、経営再建に向けた人件費削減を図ることとし、平成24年に就業規則を一方的に改定。平成25年4月からの年俸を約480万円に引き下げたとのことです。
平成24年の就業規則の改定がポイントとなったようで、裁判長は「最大4割の大幅かつ急激な減額で重大な不利益が生じるにもかかわらず、代償措置や経過措置がとられなかった。教職員組合への説明も不十分だった」と指摘。「入学者数の減少などで人件費を削減する必要性はあったが、大幅な減額は不要で、無効」と判断したということです。

就業規則の改定による労働条件の不利益変更については、いくつもの判例を経て、現在では、労働契約法10条にも規定されています。同条では、合意なしに変更できるケースが規定されていますが、これに照らすと、上記のケースが認められないことが分かると思います。
不利益の程度が大きく、大幅な減額の必要性はなく、組合との交渉もなし、といった要素が重なって、“合理的ではない”という判断に至ったといったところです。

〔参考〕
労働契約法10条(就業規則による労働契約の内容の変更)
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。