1,000円着服で退職金1,200万円を全額不支給 最高裁「市の判断は妥当」
市営バスの元運転手が、乗客から受け取った運賃1000円を着服したとして懲戒免職処分を受け、約1200万円の退職金も全額支払われませんでした。元運転手はこれを不服として、退職金を支払わないという市の決定を取り消すよう裁判を起こしていましたが、最高裁判所は2025年4月17日、「退職金を支払わないという市の判断は適法である」という最終的な判決を下しました。
この裁判では、「着服した金額は1000円なのに、1200万円もの退職金を全額支払わないというのは厳しすぎるのではないか」という点が主な争点でした。以前の裁判(二審)では元運転手の言い分が一部認められましたが、最高裁判所は市の判断を支持しました。
最高裁判所が市の判断を妥当とした理由として、着服行為だけでなく、元運転手の普段の勤務態度も考慮されたようです。具体的には、勤務中に繰り返し(週に5回)電子たばこを使用していたことも、真面目に仕事に取り組んでいなかった証拠とみなされました。
今回の市の処分は、市の条例に基づいて行われました。これは、一般の会社でいうと「就業規則」に定められるルールにあたります。
類似の事例があったとき(社員が不正行為などをした場合など)に、会社として毅然とした対応をとるためと会社の言い分が認められるよう、就業規則(特に懲戒処分に関するルール)をきちんと整備しておくことが大切です。この機会に、自社の就業規則(懲戒)の内容に不備がないか確認しておきましょう。
(詳しくはこちらをご覧ください)
・<最高裁HP: 令和7年4月17日最高裁判所第一小法廷 判決(懲戒免職処分取消等請求事件)>(裁判所ホームページ)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=94011
注意
個々の事情によって判断が異なる場合があります。個人で判断する前に、行政機関または専門家にご相談してください。