トラック運送業の賃金制度の課題の解消を目指します

  • 未払い残業代の請求が増加しているニュース等を見た。現状の賃金制度に割増賃金の未払いがあれば解消したい
  • 賃金をルールによって運用できるものにしたい
  • 成果や労働負荷を賃金に反映させて、社員のモチベーションアップを図りたい
  • 賃金が高止まりしていて経営的に苦しいため、人件費適正化を行いたい
  • 入社時期や、車種の違い、前職の賃金による不合理な格差など不均衡を解消したい

トラック運送業では、運送原価の多くを人件費が占めており、かつ長時間労働となりがちなため、ドライバーの賃金制度については様々な課題をかかえています。

「残業代は基本給に含まれている」「残業代は歩合給に含まれている」「残業代は手当に含まれている」といって、残業代を支払っていると考えている会社も存在していますが、このような方法は、ほとんどの場合法律的には通用しません。

仮に「残業代が基本給や残業代に含まれている」ことが否定された場合は、月給300,000円、平均所定労働173時間、残業80時間のケースでは、残業代は、300,000円÷173時間×1.25×80時間=173,410円/月、過去3年分の追加支払があれば1人のドライバーでも620万円程度となり、人数が多ければ多いほど大きなリスクとなります。

今は何事もなくても、労働者とのトラブルが表面化して、残業代請求をされてしまうと、会社の存続にまで波及する問題が現実的なものになります。

「うちの会社は社員と信頼関係があるから割増賃金の問題は今まで起こらなかったし、今後も起こらないから心配していない」という甘い考えは改めなくてはいけません。また賃金制度の改革を行うタイミングは、問題が起きる前に行うのが鉄則で、問題が起きてしまってからでは賃金制度改革は難しくなります。

「同一労働同一賃金」「残業代の消滅時効の期間の2年から5年(経過措置により当分の間3年)への延長」「月60時間を超える割増賃金率の25%から50%への引き上げ(中小企業は2023年4月1日から)」時間への対応策としてトラックドライバーの賃金制度改革は必須のものとなっています。

当事務所では、歩合給制も含む賃金制度により未払い残業代の課題をクリアすることを主な対策としながら、ドライバーのモチベーションの向上と、経営的にも将来持続可能な意味のある賃金改革を目指しています。

トラック運送業賃金制度設計の進め方

賃金設計には、たくさんの要素がありますが、標準的には3つの段階を踏んで進めていきます。

段階1 課題の明確化と解決の方向性の確認

現状の把握、問題点の確実な把握、賃金改革の方向性、課題解決の優先順位の確認等を行います。

事前準備

●スケジュールの確認
●会社の事業実態の確認
●ドライバー別賃金一覧表の作成方法の確認
●労働時間の把握方法の確認
ステップ1 実態把握

●業務内容や就労パターンの確認
●賃金と労働時間数の把握
●人件費の限度額や特殊事情などの制約条件の確認
ステップ2 現状賃金の分析、評価課題の確認

●世間水準との把握
●社員間の不公平性の把握
●割増賃金の未払いの有無と金額の確認
●解決する課題の計画課と方向性の確認
ステップ3 賃金改革の方向性の確認

●賃金制度改革の大義名分を立てる
●実現すべき賃金改革の方向性のイメージの確認
●労働時間制度と労働時間管理の確認
●職種ごとの賃金水準、年収の決定

段階2 自社に適切な賃金制度の組み立て

段階1で決定した改革の方向性と方針に従い、具体的な賃金制度の内容を決めていきます。ルールに従った賃金額の仕組みを構築し同一労働同一賃金にも対応できるようにします。

ステップ4 賃金構造の検討

●基本給や手当、歩合給などの賃金構造の決定
ステップ5 手当の統廃合の決定

●現在の手当を検討して、手当の統廃合や新設を行う
●同一労働同一賃金の検討と確保
ステップ6 基本給の決定

●歩合給の設定検討(出来高の保障給も検討する)
●基本給の金額、改定の有無・方式の検討
ステップ7 割増賃金支給の方法と賞与の検討

●労働時間の適切な把握方法
●固定残業代導入の検討
●賞与支給の有無、支給する場合の賞与の算定方法の検討

段階3 新賃金制度の移行

課題は解決されたのか、制約条件内におさまっているかの確認を行い、賃金制度を最終決定します。不利益変更を伴う場合には、緩和措置の設定を検討します。新賃金制度の従業員への説明、合意プロセスを設計します。

ステップ8 新賃金シミュレーション

●従業員ごとに仮決定をした賃金のシミュレーションを行う
●金額の妥当性や、全体のバランス等を確認して、修正が必要な場合には、修正を行う
ステップ9 新賃金制度の最終決定

●課題が解決されたのか、制約条件内におさまっているかの確認をする
●支給ルールの確認と賃金規程等の整備
ステップ10 緩和措置と合意プロセスの設計

●不利益変更がある場合の緩和措置の検討
●従業員説明会、個別面談等のスケジュール策定
●説明会文書、個別通知書、個別合意書等の作成
ステップ11 運用

●疑問点の解消
●新賃金制度のまとめ
●運用のアドバイスと運用の確認

トラック運送業賃金制度設計の概要

  • 会社に月1回(2時間から3時間程度)訪問する方法で賃金制度設計を進めていきます。合計で12回前後で構築していきますので、6か月から12か月の期間が必要となります。
  • 毎回、打合せ終了時に次回までに確認して欲しい事項、決定していただきたい事項を提示します。課題を社内で検討していただき、次回の打合せまでに回答をいただきます。
  • 不明点や疑問点については、電話やメール等で対応をします。
  • 打合せには、賃金制度構築に意思決定は可能な方、ドライバーの運行実態を把握されている方の参加が必要となります。充実した打合せを行いたいため3名以内での参加をお願いします。

トラック運送業賃金設計の費用

※表示価格は税込です。

  料金 備考

トラック運送業の賃金制度改革

2,640,000円~
(月額220,000円~の12回分割支払いも可能です。)

ドライバーの数、職種の数、作業の工程数や構築期間により費用は高くなることもあります。

賃金制度の変更に伴う就業規則等の作成や変更を当事務所に依頼する場合、費用は別途かかります。

賃金制度作成期間は標準で6か月から1年となります。

 

※上記料金は目安です。事前の説明、ヒアリング、お見積りは無料です。

トラック運送業賃金設計FAQ

歩合給とは何ですか?

製品の出来高や商品の売上高等に対して一定の賃率を乗じて支払う賃金になります。ただし、最低賃金や時間外があれば割増賃金の支払はもちろん保障給などの法的規制があります。

例)

・単価×出来高=100円/個×100個=10,000円

・売上高×賃率=100万円×20%=200,000円
※賃率は、歩率、歩合、コミッションなど様々な呼び方があります。

歩合給のメリットはありますか?

割増賃金の計算方法が固定給と歩合給では違います。

(固定制)
1時間当たりの割増賃金額=月額賃金額/1か月平均所定労働時間×1.25(法定休日の場合1.35

(歩合制)
1時間当たりの割増賃金額=歩合給の総額/算定期間における総労働時間×0.25(法定休日の場合0.35

歩合給の割増賃金計算のポイントは2つあります。
1つめは、割増賃金の単価計算の際に、固定給は1か月平均所定労働時間で割って計算することに対し、歩合給は月の総労働時間で割ることになるため分母が大きくなることが特徴です。

2つめは、歩合の場合の割増率は、「1」の部分は歩合給として既に計算されていて、支給済であるという考え方により、割増率は固定給の場合は1.25(法定休日の場合は1.35)であるのに対し、歩合給の場合は0.25(法定休日の場合は0.35)となることが特徴になります。

 

例)所定労働時間173時間、残業時間80時間。ケース1:固定給300,000円、ケース2:固定給150,000円+歩合給150,000円、ケース3:歩合給300,000円。

パターン1:固定給300,000円の場合
残業代=300,000÷173時間×1.25×80時間=173,410円
月例賃金合計:473,410円

パターン2:固定給150,000円、歩合給150,000円の場合
固定給残業代=150,000円÷173時間×1.25×80時間=86,705円
歩合給残業代=150,000円÷(173時間∔80時間)×0.25×80時間=11,858円

残業代合計=86,705円+11,858円=98,563円
月例賃金合計:398,563円

給与が固定給と歩合給の組み合わせで支払われる場合には、それぞれの部分について計算した金額の合計額が1時間当たりの割増賃金となります。

パターン3:歩合給300,000円の場合
残業代=300,000円÷(173時間∔80時間)×0.25×80時間=23,715円
月例賃金合計:323,715円

以上の例のように、割増賃金額は、歩合給の場合の金額は固定給の7分の1程度と最も少額になります。労働時間が長時間になりがちなトラック運送業では、経営的には歩合給の導入するメリットが大きいと思います。

 

歩合給で有給休暇をとった場合はどうしたらいいですか?

有給休暇を取得した場合には、通常の賃金を支払うとの規定があれば、固定給の場合、有給休暇とった場合には、出勤したものとみなして賃金の控除をせずそのまま支払います。

歩合給の場合は有給休暇をとった場合にも通常の賃金を支払う必要があります、歩合給分の有給休暇手当の支払を忘れないように給与計算には注意が必要です。
歩合給の通常の賃金=歩合給の総額/算定期間における総労働時間×算定金における1日平均所定労働時間数

固定給∔歩合給の給与の場合には、有給休暇をとった場合、固定給と歩合給のそれぞれ算定した額の合計額となります。

固定給のない完全歩合給は違法ではないですか?

固定給のない歩合給でも合法です。

ただし、「出来高×賃率」のみで、保障給や最低賃金、時間外があれば割増賃金の支払に関する法律の規定を順守していない場合には、当然違法になります。

保障給とは何ですか?

労働基準法第27条(出来高払制の保障給)出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。と規定されていますが、その額の具体的な定めはありません。

厚生労働省によると、「常に通常の実収賃金とへだたらない程度の収入が保証されるように保障給の額を定める」としていることから、労働基準法第 26 条の休業手当額である平均賃金の100分の60程度が妥当と解されています。

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年 3 月 1 日付け基発第 93 号通達)では、保障給として労働時間に応じて固定的給与と合わせて通常の賃金の 6 割以上が保障されるように保障給を定めることとされています。1時間当たりの保障給は、次の算式が示されています。

1時間当たりの保障給=通常の賃金/算定期間における通常の労働時間×0.6
通常の賃金とは、過去 3 ヶ月程度の期間に支払われた賃金の総額(時間外・休日労働に対する手当を含み、臨時に支払われた賃金及び賞与を除く)です。