在職老齢年金の見直し:支給停止基準額が「51万円→65万円」へ(日本年金機構)

令和7年の法改正により、働きながら年金を受け取る高齢者の年金がカットされる基準(支給停止基準額)が大きく緩和されます。これにより、「これ以上働くと年金が減るから仕事をセーブする」という高齢社員が減り、より高い給与での就労を促しやすくなります。

1. 改正のポイント

年金が全額支給されるか、一部カット(支給停止)されるかを判断する基準額が以下のように引き上げられます。

  • 現行(令和7年度):月額 51万円
  • 改正後(令和8年度):月額 65万円

判断基準の計算式: 「基本月額(年金額の1/12)」+「総報酬月額相当額(月給+直近1年のボーナスの1/12)」 この合計が65万円を超えない限り、年金は全額支給されます。

2. 実務上のメリットと影響

事務担当者や経営者にとって、以下のメリットが期待できます。

  • 高齢社員の就労意欲の向上: これまで「年金カット」を恐れて残業や昇給を拒んでいた社員が、フルタイムや責任ある役職で働きやすくなります。
  • 社会保険料負担とのバランス: 給与を上げても年金がカットされにくくなるため、会社側も優秀なベテラン層に正当な報酬を支払いやすくなります。
  • 説明コストの削減: 「いくらまでなら年金が減らないか」という相談に対し、基準が65万円まで広がったことで、多くの場合で「全額受け取れる」と回答できるケースが増えます。

3. スケジュールと確認事項

  • 施行日: 令和8(2026)年4月1日
  • 対象者: 働きながら老齢厚生年金を受給している65歳以上の方(※60代前半の在職老齢年金についても同様の基準が適用されます)。

事務担当者さまへ

日本年金機構から、改定後の金額に対応した「在職老齢年金早見表」や、社員配布用の「周知チラシ」が公表されています。

特に、現在「年金がカットされているため給与を調整している」社員の方がいれば、この基準引き上げによって支給停止が解除される可能性があるため、早めに情報提供してあげると喜ばれるでしょう。

(詳しくはこちらをご覧ください)
・在職老齢年金制度が改正されます(日本年金機構ホームページ)
https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/zairoukaisei.html